たまにはマジメに主要業務のお話。

何しろ、翻訳・通訳の仕事というのはすべて守秘義務が適用されるので、詳しい業務内容を書けないんです。

一般論は翻訳講座のサイトE-BOOKにほとんど書き尽くしちゃったしな〜

 

その中でも触れている内容ではありますが、ここ数年の気になることをちょこっと書いておこうと思います。

 

「翻訳」という言葉は中国語です。

その昔(って、1500年くらい前とか)大陸から文化を学んでいたときに、文化と一緒に入ってきた言葉なんでしょうね。それで、中国語での「翻訳(簡体字では 翻译)の定義を調べてみようと思ったらこんなPDFを発見しました。

 

「私の日⇔中翻訳論」武吉次朗氏の講演録

翻訳の歴史(主に中日ですが)から翻訳のあるべき姿まで、簡潔にまとまっていて、うなずくことしきりでした。

まずは読んでみてくださいね。翻訳関係者ならドキドキしながら(たまにヤバイ!とか思いながら)読んでいただけることと思います。

 

そこでズバリお聞きします。

あなたは本当に「翻訳者」ですか?

(翻訳者じゃない読者の方は「あなたが読んだ翻訳本、翻訳記事、翻訳されたビジネス文書を訳した人は本当に翻訳者ですか?」と読み替えてください)

 

ビジネス翻訳やテクニカル翻訳は、基本的には「原文に忠実であること」が最優先となります。

そのために読みにくい、分かりにくいことは、「仕方ない」と諦められているのが現状です。

そもそも、ビジネスやテクニカルは納期が短いから、細かいことに構っていられないし。

 

でもそこで、本物の翻訳者が取るべき態度は?

 

納期が短いから変な訳でも仕方ない

安いからそれなりに

どうせ1回使ったらお蔵でしょ?

 

どれも確かにその通りなんですが、翻訳者としてのプライドがあるなら

 

急いで訳したけど、原文が読めない読み手に意味が伝わるだろうか

 

と、提出前のチェックをしながら考えて欲しいのです。

チェッカーさんも、そういう目で翻訳を見て欲しいのです。

 

急いで訳したから、の他には、語学力不足、理解力不足、表現力不足で、原文の内容が訳文にきちんと伝わっていないこともあるかと思います。

 

実は昨日、某社の顧客向けマニュアルの日英対訳版の英語チェックを依頼されました。

どうも支社内で適当に訳したものらしく、本社でも使いたいので、英語がそのまま使えるのか見て欲しい、という依頼でした。

で、拝見したところ









翻訳の勉強をしたことのない帰国子女(日本語&日本社会の理解が中途半端)が、外国人に内容を聞かれて、口で説明してあげているような英語(子どものとき耳から覚えた英語だからビジネスでは通用しない)でした。

誤訳はそれほどなかったのですが、日本語の内容をきちんと理解していない(原文読解×)、表現が稚拙(ビジネス英作文×)、文法×・・・

 

これを訳した方は、「翻訳者」ではなく「一応とりあえず和文英訳ができて、たぶん英会話が割と流暢な一般人」だと思います。英語ネイティブとか文系一流大学の英語専攻者でないのは確か(くだらない文法ミスが多過ぎ)。

 

これは翻訳じゃないんです。なぜなら、この英文だけ読んだ顧客には契約内容が理解できないから。

ポジティブとネガティブが反対になっていた文もありました(原文は「できません」なのに「できます」と訳されてる、みたいな)。

 

これでは、翻訳を依頼してきたクライアントに対しても、その翻訳を利用するクライアントの顧客に対しても、失礼であり、ビジネス上の内容に間違いがあるので、最悪は訴訟問題に発展します。

 

先日も、コーディネーターの方とちょっとヒキツリ笑いしてたんですが、チェックしていた技術文書で、やはりポジティブとネガティブが反対になっていた文があり、もしチェックで見つけなかったら通信障害が起きてたかも!という事態でした。

ですから、第3者が客観的にチェックするという作業も大変大事なのです。翻訳している本人は、どんなプロでも思い込みや勘違いがありますから。

 

この機会ですから、逆の、良い例を挙げておきましょう。弊社の登録翻訳者で、私よりたぶん10年くらい翻訳歴の長いT氏。

訳注が多いことで有名(?)なのですが、その訳注のおかげで注文の多いクライアントからご信頼を得て、繰り返しお仕事をいただいています。

訳注には何が書いてあるか?

– 文書で扱われている技術に不案内なため、この解釈で良いか自信がない(正直!)

– 原文にはこう書いてあるけれど、調べたところ言葉を補う必要があったので補った(親切!でもこれは好まないクライアントも多いため、注意書き)

– 用語の選択肢としてAとBがあるが、自分が決定するものではないのでクライアント側で検討してほしい(専門家にゆだねる謙虚さ!)

などなど。

訳文は原文を読むより内容がはっきり分かりやすく、なおかつ、内容的な部分ではエキスパートであるクライアントに検討してほしいポイントをはっきり書き添える。

 

それでこそプロの翻訳者だ!と思うわけです。

 

翻訳者を目指す方、すでに翻訳をやっている方(曲がりなりにも)、仕事で翻訳に翻弄されている方、ぜひこの機会にちょっと考えてみてくださいね。

そして、翻訳のご用命はぜひ「本物の翻訳者」へ!

One Response to “あなたは本当に「翻訳者」ですか?”

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